「経理事務の仕事で大切なことは何だろう…」未経験から転職を考えている方や、これから入社して実際に仕事を始める人が疑問に思うことではないでしょうか。
経理事務は会社のお金を扱う責任の重い仕事です。
転職する前に知っておきたい大切なことがあります。
また、経理事務の仕事で将来のステップアップのために大切なことも知っておいたほうが、目標をもって長く働くことができるでしょう。
今回は未経験から経理事務の仕事へ転職を目指す方向けに、経理事務の仕事で大切なことを説明させていただきます。
この記事の目次
経理事務の仕事で大切なこと
経理事務の仕事で大切なことは、正確な事務処理能力と責任感です。
詳しく確認してきましょう。
ミスをしない正確な事務処理能力
経理事務の仕事は、ミスをしない正確な事務処理能力が必要です。
仕訳伝票を確認しながら会計入力をするなど、単純作業が多いのが特徴です。
しかし、正確に処理しないと、「通帳の金額と帳簿が合わない」「決算書の数字がおかしい」などのトラブルにつながります。
私が決算担当のときに監査法人から数字がおかしいと指摘されて確認すると、入力ミスが判明して、時間をかけて作成した資料の修正が必要になったことがありました。
たったひとつミスが大きなトラブルに発展する可能性があるので、正確な事務処理能力が必要です。
お金を扱う責任感
もうひとつ大切なのが、会社のお金を扱う責任感です。
仕事に慣れてくると、大きな金額を扱うことで気が大きくなり、会社のお金を横領してしまう事件も実際にあります。
会社はお金がなければ事業を継続できません。お金を扱う経理が責任を持って仕事をするかどうかは、会社にとって重要です。
会社のお金だからといって適当な仕事をするのではなく、お金を扱う責任感が必要なのです。
さらにステップアップするために必要なこと
経理事務の仕事でさらにステップアップするには、正確さや責任感の他にも必要なことがあります。
コスト意識
ステップアップするにはコスト意識が必要です。
経理事務は会社がいくら経費を使っていて、利益があるのかを常に把握できます。
そのため、経費のムダを見つけ、それを正していくコスト意識が求められます。
コスト意識をもって経費削減に取り組めば、会社への貢献が認められ、昇進や年収アップにつながります。
その実績や経験次第では、転職活動で100万円超の年収アップも可能でしょう。
経営者目線
管理職になれば、会社の業績を取引銀行などに説明する機会も出てきます。
今期の業績の要因や来期以降の見通しなども、合理的に説明しなくてはなりません。
そのために必要なのが経営者目線です。
社長や役員が何を考え、どのように行動しているのかを意識する必要があります。
また、経理事務の仕事をしていると、経営企画との接点もあります。
決算などの仕事を経験した後は、経営企画の仕事に職種を切り替えて、会社の経営に関わる選択肢もあるでしょう。
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経理事務の仕事で大切なことは、正確な事務処理能力とお金を扱う責任感です。
未経験から仕事を始めるときは、まずこの2つが基本になります。
そして、さらにステップアップするには、コスト意識や経営者目線が必要です。
まずは転職活動を成功させ、経理事務として活躍できるようにがんばりましょう!
税理士事務所と経理事務の仕事内容の違いは?
「未経験から経理としてキャリアアップをしていく」という場合、税理士事務所と一般企業の経理事務の2つの選択肢があります。
ハローワークなど「経理職志望」ということで相談したら、「こういう求人もありますよ」と税理士事務所をすすめられたという方も多いかもしれませんね。
税理士事務所と経理事務は仕事内容に大きな違いがあるので注意が必要です(長期目線でキャリアアップを考える場合、どちらを選ぶかはとても重要な決断になります)
今回は、未経験から経理分野への転職を目指す方向けに、税理士事務所と経理事務の仕事内容の違いについて説明させていただきます。
①税理士事務所の仕事内容
税理士事務所の仕事内容を一言でいうと、「お客さんの会社の経理を、まとめて代行すること」といえます。
具体的には、決算業務と税務申告書の作成、年末調整などを代行するのが仕事内容になります。
税理士事務所に入社すると、事務所の職員としてお客様を訪問してデータをチェックしたり、お客様から資料を受け取って、所内で経理事務を行うことになります。
基本的には申告書類の作成が担当業務になりますから、実際に現金をさわったり、銀行振込をしたりといったことは行いません。
お客さんの事業所にいくと「先生あつかい」ですから、入社当初は面食らう人も多いかもしれませんね(すぐに慣れちゃうものですが。なお、税理士事務所は税理士資格がなくても働けます)
お客さんの企業の規模は小規模ではある場合がほとんどですが、会計や税務の知識が求められ、お客様(経営者)に経理の状況を説明する必要もあります。
実際の仕事としては、社内の事務員というよりも「ルート営業員+会計の専門家」に近いイメージです。
税理士事務所で働くことのメリット
税理士事務所で働くメリットは、会計入力から決算、税務申告まで、経理に関する一通りの業務を経験できることです。
この点は、一般企業の経理事務ではなかなか経験できない点ですね。
また、経理分野での転職活動では「決算業務についてどのぐらいの経験があるか」が重要視されます。
一般企業の経理事務では自社の決算を年に1回か2回しか経験できませんが、税理士事務所では年間で20件〜30件もの決算業務を経験することができます。
経理、会計分野でキャリアアップしていくことを目指している方は、税理士事務所での仕事はとても濃い経験になるでしょう。
税理士事務所で働くことのデメリット
デメリットは仕事を覚えるのが大変なことと、勤務環境が劣悪である可能性があることです。
税理士事務所の仕事では簿記だけでなく、税務の知識も必要なので、最初は苦労するかもしれません。
私も「ほんとにこんなの自分にできるのかな…?」と不安に感じながら仕事をしていたものです(3年ぐらい経験を積んでようやく分かってくる感じです)
また、小規模な税理士事務所の場合は、所長である税理士がワンマン経営をしているケースも少なくないです。
所長の経営方針によっては勤務環境が劣悪なこともありますね(もちろん良心的な経営をしている人もいますが)
税理士事務所で「定年退職まで働く」は考えにくい
税理士事務所というのは良くも悪くも所長税理士の個人事務所です。
従業員数も5人〜10人程度のところがほとんどですね(中には税理士法人として数十人規模でやっているところもありますが、ほんの一握りです)
税理士事務所出身者は一般企業の経理に転職するときにも重宝されますから、期間を区切って一般企業経理へのステップアップの土台と考えると良いかもしれません。
あるいは、将来的に税理士資格を取得して独立開業を目指している方は税理士事務所での勤務がおすすめです。
逆にいうと、「1つの税理士事務所で定年退職するまで勤め上げる」というのはかなり考えにくいですね。
②経理事務の仕事内容
次に、一般企業の経理事務の仕事内容について見ていきましょう。
企業の経理事務は、(当然ですが)入社した会社の経理をするのが仕事です。
企業規模が比較的大きい場合には、ひとりですべての業務を行うのではなく、分業であることが多いです(中小企業の場合は1人でかなりの範囲を任されることもあります)
最初に任される仕事は会計ソフトへの入力作業などの単純作業がほとんどで、経験や能力に応じて少しずつ難易度の高い仕事を任されるようになる、という感じでステップアップしていくケースが多いですね。
現金の勘定や銀行振込業務も行う
一般企業の経理事務では、税理士事務所とは違って実際の会社のお金(現金)の管理も行います。
小口現金の管理や銀行預金の資金繰り、取引先への振込なども経理事務の仕事です。
企業規模が大きいと扱う金額も大きくなるので、プレッシャーも大きくなりますが、その分やりがいも感じられるでしょう。
経理事務はコミュニケーション能力も必要
経理事務の仕事は、周囲とのコミュニケーションも重要になります。
仕事が基本的に分業であるため、まわりと協力しながら仕事をしないとなかなか仕事が進んでいかないという面があります。
逆にいうと、一人ですべての業務をこなすような仕事の仕方より、チームプレーで仕事をしていく方がやりがいがあるという人にとっては、経理事務の仕事は馴染みやすいと思います。
(税理士事務所の仕事は基本的に一匹オオカミなのと対照的です)
最初から大きな責任を負わされるのはちょっと…という方も経理事務の仕事から始めてみると良いと思いますよ。
経理事務のメリット
経理事務のメリットは、まわりと協力しながらチームプレーで仕事をする楽しさがあることと、自分の経験や能力に応じて無理なくステップアップできることです。
自分のペースでステップアップしたい人や、お客様相手の仕事が苦手な人は経理事務のほうが向いているかもしれません。
また、小規模な企業よりも大きな企業で働くことを希望する人も経理事務のほうがよいでしょう。
ただし、経理事務は転職活動では経験者採用が基本になりますから、経理未経験の方は派遣スタッフなどで半年程度経験を積んでから正社員へのステップアップを目指す、というルートをたどることが必要になります。
(税理士事務所の場合は、正社員採用が基本です)
経理事務のデメリット
経理事務のデメリットは、経理の一通りの流れが理解しにくいこと、希望する仕事を任せてもらえるかどうかわからないことです。
分業のため、自分の担当業務がどのようにつながっているか最初はなかなか理解できないというケースは少なくありません。
私が経験した会社では、経理事務の仕事が「売上」「仕入」「経費」の3つのセクションに分かれていて、それぞれ担当者が別々なので、同じ経理でも別のセクションのことはさっぱりわからない…ということがありました。
また、経理分野で転職活動をするときには決算業務の経験が重要になりますが、一般企業の経理事務の場合はここを任せてもらうためには入社から3年以上はたたないと難しいとうのが実際のところだと思います。
決算データというのは会社の極秘情報でもあるので、入社してすぐの社員には見せないという扱いになっていることも多いですね。
決算業務の経験をしたいとと思っても、任せてもらえるかは上司が判断することになります。
まとめ
このように、税理士事務所と経理事務では、同じ経理でも仕事内容がかなり違います。
いずれも向き、不向きがあるので、転職活動をする前に「だいたいどんな仕事なのか?」については理解しておかないと入社後に後悔するかもしれませんので注意してくださいね。
本文で解説させていただいたようなそれぞれの特徴を理解し、メリットとデメリットを判断材料にして、どちらに転職するのが自分にとってベストか?を判断してみてください。