
(経理の給料は安い?未経験で経理事務に転職し7年間働いた女性にお話をお聞きしました)
未経験で経理に転職したいと思っているけれど、給料が安い求人ばかりで迷っている…。
このような不安をお持ちの方は少なくないでしょう。
経理は実務経験がとても重要視される職種です。そのため、未経験者として入社した場合には給料が安くなってしまうことが多いのです。
今回は、25歳で未経験から経理職に転職し、7年間働いている女性に転職の体験談をお聞きしました。
北川さんは、契約社員として未経験で経理に転職し、その後正社員に登用された方です。
経理に転職するなら、正社員として働くことを目指すべきとおっしゃいます。
- 経理の給料は安い?
- 契約社員と正社員とで給料はどのぐらい違う?
- 職場の男女比は?
- 経理としての仕事内容に不満はある?
などなど、気になるポイントについて本音でお話いただきましたので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
経理の給料は安い?私が体験した仕事内容
体験談をお聞きした方のデータ
- お名前 :北川みどり
- 在職年齢 :25歳〜31歳(7年間在職)
- 雇用契約 :契約社員→正社員
- 年収 :年収350万円
- 会社の規模:従業員約4000名、業界では中堅レベルの会社規模
私は、従業員約4000人の規模の会社で、経理事務として7年間働きました。
大手企業のグループ会社で業界内では中堅程度の規模の会社です。
私が所属していたのは経理課で、人数20名の組織です。
従業員全体の年齢構成は下は高校生アルバイト、上は70歳以上のシニア雇用者までいました。
社員の年齢構成は30~40歳代前半が最も多く、経理課は平均年齢が30歳代前半とかなり若い職場でした。
経理の給料は安い?
正直に言うと、月々もらえる給料に関しては「安い」というのが実感です。
私は最終学歴が専門学校だったため高卒扱いだったこともありますね。
当時はまだ経理の実務経験がなかったこともあり、大卒の転職者と比べると給料はかなり安かったです。
仕事内容からして今振り返ってみても、もう少し評価されて給料に反映されても良かったのではと思いますね。
実際、大卒で入社した人たちは管理職になって平均年収は600万円を超えていたと思います。
ただ、年2回のボーナスが他企業よりよかったので、年収としては納得していたといったところです。
契約社員と正社員とで経理の給料に違いはありますか?
当時、1年の契約社員を経て正社員に正式雇用される仕組みでした。
正社員に正式雇用されてから昇給・昇格していくという形です。
私も最初は契約社員として入社し、その後正社員に登用されるというかたちで正社員になりました。
契約社員時の毎月の手取り額は15万円程度です。
正社員になると手取りが18万円程度になりボーナスも支給されるようになりました。
年収で見ると、正社員になった後は、契約社員時の2.5倍になります。
経理に転職するなら、絶対に正社員として働くことを目指すべきですね。
正社員になって後は、女性で事務職としては割と良い年収だったと思います。
経理の給料についてどういった点に不満を感じていましたか?
ではどうして給料に不満があったのかというと、私がしていた本社経理の仕事はある程度は会計や税務の専門知識を必要とする作業だったからです。
専門知識がないとできない仕事だったので、もうちょっと評価して欲しかったということですね。
「経理の仕事」といえば、請求書を作成したり、伝票を仕訳したり、経費を精算処理することをイメージされる人が多いでしょう。
私が担当していたのはこうした作業ではなく、決算資料の作成はもちろん、税金計算や会社の経費として認められるかどうかの判断・決裁です。
これは簿記や税務についてのかなり高度な知識が求められる仕事です。
専門職に近い仕事にも関わらず、一般事務として現場の事務と同じ給料だったことにはかなり不満がありましたね。
経理の給料はどういうふうにステップアップしていくのですか?
私が勤めていた会社では仕事の内容で給料が決まるわけではなく、ある一定のレベルまでは性別・学歴・年齢・勤続年数によって金額が決まるような会社でした。
他企業では始めから専門的な経理の知識を必要とする人材を採用募集しているのであれば、専門職として給料もそれに見合った額になっていると思います。
給料に不満はありましたが、自分の持っている経理の専門知識を最大限に生かした仕事ができていたという点には魅力を感じていました。
会社の社長や重役と話ができる立場で仕事ができる貴重な職場だと感じていたので仕事を続けることができたと思っています。
これが一般的な現場経理作業の仕事だったら早い段階で辞めていたと思います。
経理にはどうすれば転職できる可能性が高いですか?
経理の求人を専門で扱っている転職サイトを利用するのが近道です。
例えば、MS-Japan(エムエスジャパン)は、経理求人だけを扱っている転職サイトです。
こういった転職サイトを使えば、数ある経理求人の中でもさらに条件の良い求人に行き着くことができます。
経理に転職するためには、職業安定所(ハローワーク)のような広く万人に受けるような求人を扱っているようなところは避けた方が良いと思います。
ハローワークの求人は、求人票の上では「経理」となっていても、実際にはお茶汲みを含む総務事務を担当するケースもありますから、注意してください。
経理の「実務経験」ではなく「専門知識」を求めている企業を選ぶ
実際に転職サイトで応募する求人のしぼりこみを行う際には、経理の「実務経験」ではなく「専門知識」を必要としている企業を選んでください。
ひとことで「経理の仕事」といってもいろんな種類があります。
伝票や経費を会計システムに打ち込むだけの作業も経理ですし、私のように自分で仕訳を起こしたり決算資料を作成するような仕事も経理なのです。
転職サイトで検索するときは「本社経理」で打ち込んでみて
転職サイトで求人検索するときには、「本社経理」というキーワードも積極的に探すといいと思います。
私の場合はまず転職サイトで「本社経理」のキーワードを見つけて応募しました。
求人票には「未経験OKだけど、簿記の知識が必要です」と記載されていました。
経理の採用面接はどんな感じ?
面接は団体面接1回と個人面接2回、団体面接時に簡単な筆記試験(一般常識)がありました。
個人面談は1回目は経理課の課長・部長との面談です。
2回目は重役との面談でした。
おそらく仕事上、立場が上の人とのやり取りが多く発生するので、きちんとした礼儀作法やコミュニケーションが取れるかを見られていたように思います。
私は前職が営業職で経理の実務経験はまだなかったのですが、自分で勉強して取得した簿記資格がありました。
また、営業経験者ということで会社の役員相手でも常識的に話せることのできる人材ということで採用が決まったのだと思っています。
経理の仕事は必ず自分より立場が上の役職者へ報告する機会が発生します。
まとめあげた数値をいかにして的確に伝えるかも重要なスキルなので、そこもアピールできると採用につながるのではないでしょうか。
経理の男女比は?
男女比は全社的には半々ぐらいです。
しかし多種多様な事業を展開している会社なので、職場によって男女比にかなりの偏りがありました。
離職率が高く、若手が退職するというよりは役職が付くかつかないかの働き盛り世代の退職が目立っていました。
私が勤めていた本社経理課の仕事は、全国各地に散らばっている事業所から経費や伝票などの数字を取りまとめて、自社の貸借対照表や損益計算書を作成したり、グループ会社や自社役員への決算報告資料を作成することです。
基本的には内勤なので会社内の従業員とのやり取りになります。
外部との接触といえばグループ会社か銀行、現場で取引先と金銭的なトラブルがあった場合に取引先と直接やり取りする程度でした。
経理の仕事の働く時間や残業・休日出勤の有無について
定時の時刻は朝9時〜18時です。
残業はある程度発生します。
ただし、毎日ダラダラとするような残業ではなく、毎月月末の締め、中間・期末決算、棚卸などの決まった時期のみ残業が発生するという感じです。
締め処理の状況によっては、終電がなくなるまで残業していたこともあります。
また特殊な契約を交わしている仕事の担当になると、毎月の締め処理だけでなく日々の数値計上の相談を現場から受けたり、打ち合わせに同席したりするので残業が断続的に発生することもありました。
休日出勤は期末決算時のみ締めの週の土日に出勤をすることがありましたがほとんどありません。
残業や休日出勤は決められた通りの割増賃金をしっかりいただいていました。
忙しい時期がある程度決まっているので、スケジュールが立てやすく、プライベートも充実していました。
経理の仕事が楽しい、やりがいがあると感じる瞬間は?
やはり自分よりも役職が上の人、特に社長や役員から頼りにされることです。
従業員数4,000人規模の会社で社長や重役と直接やり取りできる人間はごくわずかです。
それが30歳そこそこの女性である私ができるということにやりがいをすごく感じていました。
場合によっては重役から相談を受けることやこちらが重役にアドバイスをする場面もあります。
こうした面で一般事務ではなかなか得ることのできない経験をしたと思っています。
それに、社長や重役だけでなく、経理的なことで困っている現場を助ける側に常にいたので、仕事に対して感謝されることが多いこともやりがいの一つでした。
自分の仕事の専門性が給料には反映されていない点について不満はありましたが、多少辛い仕事であっても自分のやっている仕事に対して直接相手から「ありがとう」と感謝される場面が多いことで、精神バランスが保てていたのだと思います。
経理の仕事で「ここがつらい・しんどい」という点は?
この仕事で一番辛いと感じていたことは、現場と会社の上層部との間に板ばさみになることでした。
会社のお金が関わることなので、両者からの相談や要望は簡単に判断できるものではありません。
守らなければならない法律的なものであれば、すぐに正しい回答を出すことができます。
しかし、会社にとって有益かどうかの判断などは、営業職の経験がある私にとっては上層部の意見より、現場の声を大切にしたいことも多かったのです。
この悩みは私だけでなく、経理課で働く職場のみんなが感じていたことだと思います。
経理の事務的な作業だけを黙々とやりたい人は辛いかも
現に辞めていった人達は、上層部からの重圧に耐えられない、現場と良好な関係が築けなかったという、経理の仕事というよりは人との関わりによってストレスを抱えて辞めていく人がほとんどでした。
経理的な仕事を黙々とやりたいと思っていた人からすると、そのギャップが辛かったのかもしれません。
ただ、私はこの部分において逆に仕事のやりがいを感じていたこともありました。
なので、一時的に辛いと思ったことがあったとしても仕事を辞めるまでには至りませんでした。
最終的に退職された理由は?
そんな私が退職した理由は、本当は育休後復帰するつもりが、家庭の事情(遠方の親の介護が必要になってしまった等)が重なってしまったことです。
本当にこれだけが理由です。
スケジュールが読みやすい仕事なだけに、子育てとの両立はとてもしやすいと思います。
女性でも長く続けられる仕事です。
私も親の介護さえなければ仕事を続けていたと思います。
経理の仕事に向いている人は、どんな人だと思いますか?
ただ作業するだけでなく、経理の専門知識を活かして、自分で考えて物事を組み立てたり、相手に伝えることができる人がこの仕事に向いていると思います。
本社経理の仕事は貸借対照表や損益計算書を作成することが大前提です。
それに加えて、自社のお金の流れ(契約成立~報酬の受け取り・支払いまで)を把握している必要があります。
そこに知識を当てはめながら答えを探し、その答えを会社の上層部や現場へフィードバックするという作業がもっとも大変です。
人との関りが苦手で会計ソフトに仕訳を入力したり、経費を打ち込んでいくような作業がしたい人には向いていない仕事だと思います。
会社の上層部から評価されると給与も上がる
後、これは私の勤めていた会社だけのことかもしれませんが、まわりから感謝される仕事が多かったことで他の職場よりは昇給や昇格が早かったように思います。
特に会社の上層部相手に仕事をしていると、仕事を評価される機会も多いので、向上心ある人にオススメな仕事です。
仕事を丁寧・正確に、かつ円滑な人間関係が築ける人はやりがいを感じられる仕事ではないでしょうか。