経理経験者の転職活動

IPO準備企業の経理は激務?仕事内容と入社前の判断軸を解説

2023年9月6日

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IPO準備企業の経理は忙しい?

IPO準備企業の経理で負担が大きくなるのは、毎月の決算を進めながら、監査に出す資料や社内のルールも整える必要があるからです。決算を回す仕事と、その回し方を作り直す仕事が同時に動くところに、上場準備ならではの難しさがあります。

仕組みづくりや監査対応に関わりたい人には、希望する経験を積める候補になります。一方、担当範囲が決まらず、相談相手もいない募集には慎重な判断が必要です。「IPOに携われる」という肩書きより、任される業務と支える体制が、入社後の働き方を左右します。

IPO準備企業の経理は何をする?通常業務との違い

IPOは、会社が株式市場への新規上場を目指すことです。経理部門では、日々の入出金や請求、決算に加え、外部へ数字の根拠を説明できる状態を整えていきます。

たとえば、売上の計上根拠を契約書や取引データと結び付ける、担当者ごとに違っていた処理をそろえる、資料を集めて確認する順序を決める、といった仕事です。数字を合わせるだけでなく、翌月も同じ手順で処理できる仕組みが求められます。

日本取引所グループは、グロース市場の上場審査で、開示の適切性や内部管理体制が整備され機能しているかを確認するとしています。上場審査基準の概要からも、準備が書類の提出だけで終わるものではないことが分かります。

経理の仕事として捉えると、次のように整理できます。

  • 決算を進める仕事:取引を集計し、残高や会計処理の根拠をそろえる。
  • 監査対応の仕事:依頼資料を用意し、取引や処理に関する質問へ回答する。
  • 社内の仕組みを整える仕事:承認・確認・資料保管の手順を決め、実際に運用する。
  • 開示準備を支える仕事:社外へ説明する数字や文章の作成・照合に関わる。

すべてを経理一人で担当する想定ではありません。経理責任者、他部署、外部の支援者のうち、誰が作成し、誰が判断するかによって、同じ「IPO準備担当」でも仕事の中身は変わります。

IPO経理が激務になるのは、締切と改善が重なるとき

通常決算を止めずに、準備の課題も解く

月次決算の締切は、準備作業が増えてもなくなりません。決算資料を作りながら過去の取引を調べ直し、その原因となった運用を直す状態では、現在の処理と過去の修正が重なります。

資料の置き場所や処理の理由がそろっていれば、質問にも答えやすくなります。反対に、担当者しか事情を知らないままだと、本人に資料探しと説明が集中します。忙しさを見るうえでは、件数だけでなく、この手戻りの有無も大切です。

他部署の協力と、判断を引き取る責任者が必要になる

経理だけで請求・購買・経費精算の運用を変えることは難しく、現場への説明や調整が伴います。依頼しても資料が集まらず、締切直前に経理が埋め合わせる状態なら、増員だけでは解消しない課題もあります。

改善案を決める責任者がいて、現場への協力依頼や優先順位の調整まで担う体制と、実務担当者がすべて抱える体制では、引き受ける負担が違います。

準備の段階より「残っている課題」と「担当」が具体的な材料

求人でいうN期は上場申請期、N-1期はその前の期を指します。ただ、その呼び方だけで残業の多さは読めません。決算の締め方を整えている段階なのか、運用を確かめている段階なのか、申請に向けた資料対応なのかで、必要な仕事が異なります。

入社後すぐに既存の決算を引き継ぎ、そのうえで未解決の課題も担当する募集なら、両方を回す分担と日程が重要です。上場予定時期だけが示され、残課題の担当が決まっていない募集は、役割が広がる可能性を考えたいところです。

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IPO準備企業に経理として転職することのメリットは?

IPO準備企業で働くメリットと、引き受ける負担

メリットは、処理の根拠と仕組みづくりに関われること

IPO準備の魅力は、決まった作業を処理するだけでなく、なぜその処理をするのかを説明し、運用を改善する仕事に関われる点です。任される工程によって、経験として持ち帰れる内容も変わります。

  • 決算を深める経験:残高確認や会計上の論点整理まで担当するなら、数字の作成過程を説明する機会になる。
  • 監査対応の経験:資料の準備に加えて回答案を作るなら、根拠を組み立てて伝える仕事に関われる。
  • 業務改善の経験:手順を作り、関係部署と運用するなら、処理を継続できる仕組みづくりに関われる。

「IPO経験あり」という経歴だけでなく、何を作成し、どんな課題を改善したかを話せることが、次の仕事を考える材料になります。単純作業の応援が中心の募集と、改善担当としての募集では、得られる経験も異なります。

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IPO準備企業で働くデメリットは?

デメリットは、未整備な運用と役割の変化を引き受けること

準備中の職場では、入社時点で手順が完成しているとは限りません。処理方法を相談する時間、資料を探す時間、他部署と合意を作る時間も仕事に含まれます。

  • 業務範囲が広がる負担:経理以外の管理業務も含む募集では、専門業務に使える時間が減る。
  • 日程が動く負担:準備計画が変わると、予定していた担当や改善の優先順位も変わりうる。
  • 判断が集中する負担:経験のない論点まで一人で任されると、調べる仕事と決断の責任が重なる。

成長できるかどうかと、無理なく続けられるかは別々に考える必要があります。経験を積めそうでも、生活上確保したい時間と両立できない条件なら、別の職場を選ぶ理由になります。

IPO準備企業と上場企業の経理、どちらが合う?

仕事の方向性としては、これから整える過程に関わりたいか、運用されている決算・開示の担当を深めたいかが一つの軸になります。以下は編集部が整理した求人を見る視点です。

希望する経験 候補になる仕事内容
手順や役割を作る仕事がしたい IPO準備で、改善課題と自分の担当、決裁者が明確な募集
決算や開示の専門性を深めたい 上場の有無にかかわらず、希望する作成・確認工程を担当できる募集
勤務時間の見通しを優先したい 配属先の繁忙実績と、休む人の代替体制を説明してもらえる募集

上場企業でも改善業務はあり、IPO準備企業でも日常業務に専念するポジションはあります。上場の有無だけで働きやすさを決めるより、仕事と体制を対にすると違いが見えます。

上場後の決算・連結・開示の担当を知りたい方は、上場企業の経理がきついと感じる業務と働き方も参考になります。

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IPO準備企業の求人の探し方は?

入社前は、募集背景と任される仕事を具体化する

面接では「残業は多いですか」だけでなく、負担が生じる仕事と、誰が支えるかを聞くと、入社後の姿を考えやすくなります。

聞きたいこと 質問の例
募集背景と引継ぎ 増員・欠員のどちらで、日常業務は誰から引き継ぎますか
入社直後の担当 最初に任される決算業務と、準備課題は何ですか
作成と判断の分担 私が作った資料や回答を、誰が確認・判断しますか
残課題と改善の体制 未解決の課題は何で、担当者と対応日程は決まっていますか
繁忙期の働き方 配属チームの通常月と直近の繁忙月の残業、休日対応はどの程度でしたか
計画が変わった場合 上場予定が動いた場合、採用ポジションの役割はどうなりますか

「今は忙しいが落ち着く予定」という回答なら、何の作業が終わり、誰が加わると負担が減るのかが判断材料です。説明が足りない点は、条件を受け入れる前に追加面談で聞く項目になります。

待遇は提示年収だけでなく、基本給・賞与・固定残業代と任される役割を並べると、比較しやすくなります。ストックオプションが提示された場合も、確定した給与と分け、付与や行使の条件を会社の資料で読むことが必要です。上場の予定だけを、将来受け取れる収入として生活設計へ織り込むのは避けたいところです。

今の職場に残る・転職準備をする・相談する選択肢

今の職場でも決算や改善の担当を広げられるなら、異動や分担の相談で希望へ近づける可能性があります。IPOという肩書きを得るためだけに移る必要はありません。

希望する業務が現職にはなく、転職を考える場合は、経験済みの仕事と新しく学びたい工程が整理できると、求人の担当範囲を読み取りやすくなります。自分の経験の伝え方に迷う方は、経理の実務経験とスキルの整理も役立ちます。

企業への直接応募でも、転職支援サービス経由でも、入社前に聞きたい内容は同じです。求人票だけでは準備課題や役割が分からない場合には、採用担当へ直接聞くほか、紹介担当者を通じて確認する方法があります。

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まとめ

IPO準備企業の経理は、通常決算と並行して、資料の根拠や社内の仕組みを整える仕事です。処理の理由を説明し、運用を作る経験に関われる一方、未整備の手順や役割の変化も引き受けます。

仕組みづくりや監査対応に関心があり、担当と相談先が明確な募集なら、次の経験を積む候補になります。勤務時間を安定させたい人には、上場の予定より、配属先の繁忙実績と分担を説明できる職場が合います。

得たい経験と続けられる働き方が重なることを、入社先を選ぶ基準にしていきましょう。

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